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鍼灸で夢と希望を

兵庫県芦屋市の針灸専門治療院。JR芦屋駅より徒歩4分のSORA鍼灸院です。

被災地での鍼灸治療

 被災者の健康を脅かすものに、精神的な不安やストレスがあります。家族を失った悲しみ、仕事を失ったこれからの不安、家を失って仮設住宅で暮らす不便さ、コミュニティーの崩壊による孤独感など。さらには、衛生環境や栄養状態の悪化もあります。これらが、身体の「免疫力の低下」を招きます。いわば、どんな病気にでも罹りやすい背景があります。これらを一鍼灸師が全て解決しようとすると、やりきれなくなります。
 そんな中でも、実際に被災者の方の治療を通して、特に身体に現れ出ていた不調に注目してみます。身体へのアプローチこそが、鍼灸師の役目でもあります。

【めまい・地震酔い】
 多くの方に見られたのが、平衡感覚の不調です。未だ多くの余震があります。その地震の度に平衡感覚は、かき乱され、めまいを起こし、精神的にもまいります。また、被災地では、いたるところの建物や地面も未だ傾いたままです。何が真っ直ぐなのか、水平なのかわからず、視覚・深部知覚の情報も乱され、平衡感覚が補正されにくい状況にあると考えられます。
 治療としては、まずは心身を休められる状態に持っていくこと。全身状態が悪くても、めまいは起こりやすくなります。それに加え、平衡感覚に関わる内耳(三半規管・前庭)の環境を整えることが重要です。

【睡眠障害】
 睡眠薬を服用されている方も、少なくありませんでした。不安や心配があるときに眠れないのは、誰もが経験したことがあると思います。被災者の方にとっては、 「将来に対する不安」 がいつまでも拭いきれません。さらに、仮設住宅での睡眠環境の悪さもあります。床が固い、雨音が響いてうるさい、隣人の物音足音が伝わる、夏は暑く冬は冷えやすいなど多くの訴えがありました。とてもリラックスできる睡眠環境とは言えません。また、身体的な原因として、先程の平衡感覚の不調も睡眠障害の一因に考えられます。
 その対策としては、睡眠環境を整えます。治療としては、入力されてくる交感神経の活動を抑え(主に感覚器)、モルヒネ用物質の分泌を促す、いわゆるリラックスした状態に導きます。これは、鍼灸治療の得意とするところだと思います。

【呼吸器疾患】
 震災直後に比べるとましになっていたように感じましたが、空気は良くありません。被災地には未だがれきが積み上げられていて粉塵が舞い、津波の残した泥による砂埃もあります。仮設住宅では、布団や洗濯物が満足に干せないこともお聞きしました。室内では、カビや菌の温床とならないよう、換気するなどの対策は必要です。集団生活は、感染に要注意です。風邪の入口である呼吸器へのアプローチは、欠かせない治療ポイントであると思っています。
 また、この部分の炎症は、脊髄反射により、首から背中にかけての筋肉を緊張させます。首肩がパンパンの方を非常に多く見かけました。頭痛、肩こりなどの緩和もたいへん喜ばれます。

【心疾患】
 阪神大震災時にも注目されました。地震の様な自然災害後や、戦争の様な人為的災害後に増加することは知られています。災害ストレスに対して、交感神経や視床下部、下垂体、副腎系などを介して、心疾患のリスク因子の憎悪を招くと考えられます。
 対策は、睡眠障害と同じく、ストレスの除去で、いかにリラックスしてもらえるかでしょう。さらに、直接負担のかかる心臓へのアプローチです。


 これらは、いわゆる慢性疾患です。慢性期疾患は、日頃の生活の仕方が大きく関わってきます。震災前は、病気の自己管理、いわゆる生活の中でのセルフケアを行っていました。それが、生活環境が一変することで、普通の生活ができなくなっています。それが、その人のセルフケア能力を低下させ、健康を悪化させることになります。これから、いかにセルフケアがなされていくかがポイントだと考えます。
 
カテゴリー: ボランティア / SORA鍼灸院 芦屋
 
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[ 2011/09/30 18:27 ] ボランティア | TB(0) | CM(0)

被災地での鍼灸の力

 今回のボランティア活動では、鍼灸治療による身体のケアと、セルフケアを伝えることに重点を置いていました。「鍼灸」が東北の被災者の方々に受け入れてもらえるかは、不安もありました。しかし実際に活動を通してみて、改めて「鍼灸」の魅力を認識しました。

 2日間の滞在にて鍼灸治療を行ったのが、仙台市内のあすと長町仮設住宅です。ここでは、東北大学の臨床心理士グループのご協力のもと、集会所をお借りして「一日診療所」を開く予定でした。しかし、集会所では、鍼とお灸を使った治療が行なえないことに。そこで、刺さない鍼の「ローラー鍼ケア」を行なうことになりました。結果的には、そのローラー鍼が好評で、鍼灸初心者の方にもすんなり受け入れられたのではないかと思います。さらに希望される方には、ご自宅まで訪問して鍼灸治療を行ないました。ご自宅ということもあってか、被災当時の様子や、現在とこれからの苦悩といった心の内も話して下さいました。どこでもできる鍼灸治療の利点が発揮できたと思います。

 その臨床心理グループの学生さんたち、私たち鍼灸師にとっても、お互いの刺激剤になりました。心のケアの専門家でも、相手の心の内を打ち明けてもらうことは簡単ではありません。それが、私たちの行う「鍼灸」というツールによって、いともたやすく実行できていることに感心されていたようです。言葉だけでなく、からだの声を聴くことで、その方の思いやつらさも伝わってきます。そこから生まれる信頼感や安心感によって、心を開かれるのではないでしょうか。学生さんから、「鍼灸師にはどうすればなれるか?」といった質問や、これからの手段として「ローラー鍼を下さい」と言われたことは、鍼灸師として誇りに思いましたし、鍼灸の良さを改めて実感しました。私たちは帰ってしまう身なので、地元の方が支援を引き継いで下さることは、本当にうれしい限りでした。

 また、今回のボランティア滞在中に、被災地で勤務されている耳鼻科医さんとお会いすることもできました。ご自身も病院や住まいが被災されていた中、診療に日々尽力されています。そんなお医者さんも、悩まれていました。当直など過酷な労働環境、一人の患者さんとしっかり向き合えない、病気のことがわからない、治したくても治せない。やさしく正義感が強い方だからこそ抱えている悩みでした。そんな中、鍼灸治療には、希望があります。身体や病気、作用機序にも、わからない部分、不明な部分もあります。しかしその中でも、患者さんとしっかり向き合うことで、治る可能性は広がります。鍼灸治療には、夢と希望があります。そのことに誇りを持って、日々の治療に努めたいと思います。

仮設住宅集会所
 
カテゴリー: ボランティア / SORA鍼灸院 芦屋
 
[ 2011/09/29 20:43 ] ボランティア | TB(0) | CM(0)

仮設住宅でのくらし

 今回のボランティア活動は、仮設住宅を巡っての鍼灸治療が主でした。

 まずは、仙台市内のあすと長町仮設住宅。ここでは、東北大学の臨床心理士研究室のグループが被災者の方の心のケアに入られています。今回そちらの学生さんのご協力により、鍼灸治療を行うことができました。

 まずは集会所でローラー鍼によるケアを行い、希望される方には、ご自宅に入らせて頂き本格的な鍼灸治療を行いました。実際に、被災者の方の仮設住宅での暮らしぶりを見させて頂き、その不便さを教えて頂きました。

 やはり仮設の住宅であって、とてもくつろげる空間とは思えませんでした。壁は薄く、隣に物音も伝わりやすく、迷惑かけないようにと気を使われていました。また、外気温の影響も受けやすく、訪問時もひんやり寒さを感じました。これからの寒い冬が心配です。

 ここに限らずあちこちの仮設住宅が、急ピッチでの建設のため、欠陥も多く聞きます。ちょうど台風ともあって、雨漏りしているお宅も見られました。玄関にはまともに屋根がなく、靴もびしょびしょでした。実際に暮らしながら、補修、改良していっているのが現状のようです。震災前は大きな家に住まわれていた方も多く、部屋の狭さや、物音の伝わりやすさに、だいぶ窮屈な生活を強いられていました。多くの方が荷物の置き場がなくて困られていることもお聞きしましたが、ある被災者の方は 「うちは津波で全て流されて何もないから大丈夫」 という冗談も笑えませんでした。

 次に訪れたのは、南三陸町の名足にある小さな仮設住宅です。その周辺で被災された方が集まる、アットホームな感じの仮設住宅でした。ここでも集会所をお借りして、鍼灸治療を行いました。お話を伺うと、漁師さん、大工さん、農家の方々が、家と「仕事」も失いました。船や道具も津波で流され、あきらめられている方もおられます。大事にしていたものを失うつらさは、いたたまれません。

 何よりも重くのしかかってくるのが、先が見えない不安です。仮設住宅の期限である2年後までに、どうしたらよいかわかりません。津波のあった海岸沿いの地域では、建て直し禁止区域もあります。そのわずかに内陸で建て直しができる地域でも、元のように町が再生するかは、誰もわかりません。原発の影響を受けた地域は尚更です。地震だけの被害ではないことに、苦悩の種はつきません。

仮設住宅
 
カテゴリー: ボランティア / SORA鍼灸院 芦屋
 
[ 2011/09/27 23:58 ] ボランティア | TB(0) | CM(0)

半年後の被災地の様子

 地震から約半年後の被災地訪問でした。5月の訪問で感じた被災地とはまた違った印象を受けました。 (2011.5.9. 被災地での光景

 季節は春、夏、秋へと移り変わりました。訪問の初日は半袖1枚、エアコンをつけて過ごしていましたが、台風もあって期間中は長袖をあわてて買い足し、暖房をつけて過ごしていました。これからの東北の厳しい冬を予感させます。

 風景も様変わりしていました。津波の被害を受けてすぐの5月は、草木は枯れて、泥をがぶって灰色に、町全体が色を失ったようでした。それが、この数ヶ月で草木は生い茂り、一見何事もなかったかの様な風景もみられました。そんな自然が移り変わりつつある中、人工のものは変わっていないというギャップも感じました。市内の道路はまだ陥没したまま、崩れたままというところがほとんどでした。自然の力強さを感じるとともに、後に人間の無力さも感じさせられました。

仙台市内道路


 今回の訪問中では、被災者の方に被害を受けた町を紹介もして頂きました。写真や映像では知りえない、被災者ご自身の思いも伝わり、胸が詰まります。

 南三陸町の志津川の漁港付近では、ちょうど台風の大雨もあって、陥没した道路は冠水していました。通行止めとなる道路も未だにありました。津波が川を逆流し、こんなとこにまでという所にも被害が見られました。低地にある建物なんかは、土台や骨組みだけしか残っていませんでした。

南三陸町

 宮城県南部の山元町を訪れた時は、天気も良くなりました。宮城県の湘南と言われる海はきれいで、あたり一面に緑も生い茂っていました。しかし、その原っぱには、もともと家が建ち並び電車も走っていた駅周辺。津波で、土台も基礎も全て流された跡だったのです。駅のプラットホームがぽつんと残っていただけでその面影は見られませんでした。

山元町坂元駅

 その山元町では、訪れた施設の職員さんをはじめご家族の方も多く犠牲になっています。津波の中、急死に一生を得られた時の様子もお聞きしました。ついさっき治療を終えて元気に振舞っておられた方が、そんな壮絶な経験をされていたことを後から聞いて、たまらなくなります。

 被災した建物や風景を見ても、正直それほど実感がわきません。むしろその中でも育つ、自然のたくましさを感じます。しかし、それにおいてけぼりになる人間の無力さや、被災を受けた方の体験や苦労を垣間見ると、悲しくてたまりません。とにかく何とかしたいという思いがある一方で、これから先のことを考えたときのやるせなさもあります。何ともやり切れなく、つらいものです。
 
カテゴリー: ボランティア / SORA鍼灸院 芦屋
 
[ 2011/09/26 19:16 ] ボランティア | TB(0) | CM(0)

元気に帰ってきました

 ボランティアより無事に家まで戻りました。

 この1週間で本当に貴重な体験をさせて頂きました。鍼灸治療がとてもいいものだと再確認しました。

 ただ、被災地での課題は山積みで、まだまだこれからも継続的な活動が必要です。今回の活動で得たことを伝え広めるとともに、また次のステップへと進んでいかなければと思います。このブログ上でもまとめていきます。

 また、今回の活動は、カンパやご協力を頂いた先生方、業者さん、患者さん、多くの方々の支えがあってこそ実現できました。用意したローラー鍼も、全てお渡しできました。しっかり被災者の方に思いを届けられたのではないかと思います。この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 長い間お休みを頂きご迷惑をおかけしました。
 明日から診療再開です、頑張ります!
 
カテゴリー: ボランティア / SORA鍼灸院 芦屋
 
[ 2011/09/25 19:19 ] ボランティア | TB(0) | CM(0)

元気です in 東北

東北地方でのボランティア活動は、順調です。
毎日の非日常の出来事に頭が整理できず、ブログをさぼっていました。

そんな中、今回のボランティアグループのリーダー舟橋先生が、
活動を記されています。
毎日の活動の様子はそちらを。(手を抜いてすみません…)

鍼灸で行こう!

そんな尊敬する先生方と毎日共に過ごしていることも、貴重な体験です。
無事に帰ってまた後日、ご報告致します。
 
カテゴリー: ボランティア / SORA鍼灸院 芦屋
 
[ 2011/09/23 00:21 ] ボランティア | TB(0) | CM(0)

被災地へ鍼灸治療とセルフケア

今日から約1週間、東北の被災地へボランティア活動にいってきます。
前回は被災障がい者支援が主で、今回は鍼灸治療での支援です。
中々頻繁に出向くには遠い被災地です。
そして一回の鍼灸治療でできることは限られています。

そこで今回は、自分でできる「セルフケア」を広めることが、大きな目標です。
身体のつらさを自らの力で乗り越えることができるようにと思いをこめて、
せんねん灸、ローラー鍼、その使い方をまとめた冊子を、お届けしてきます。

反応点治療グループの多くの方にカンパいただき、
㈱セネファさん、㈱タフリーインターナショナルさん、
そして母校の神戸東洋医療学院のご協力とご支援の下、
たくさんの支援物資を用意できました。
皆様の想いを、被災地の方に直接届けてきます。
実際の活動内容は、またご報告していきます。

患者さんにも前々から無理を言って、ご迷惑をおかけしております。
にも関わらず、多くの方にご支援とご協力と励ましを頂きました。
ご期待に応えられますよう、しっかり頑張ってきます。

せんねん灸

ローラー鍼

支援物資

ありがとうございました
 
カテゴリー: ボランティア / SORA鍼灸院 芦屋
 
[ 2011/09/18 03:01 ] ボランティア | TB(0) | CM(0)

飛行機での不調

 飛行機内の環境はよくありません(空でのお仕事)。特に海外渡航など長時間のフライトであれば、乾燥、低気圧、不動、時差など、過酷です。いろんな条件が重なったとき、身体は不調をきたします。

 特に前の二つは、耳や鼻に不調を抱えやすい方は、注意です。耳、のど、鼻粘膜を一時的にでも、いたわりましょう。マスクをしたり、飴をなめたり、ガムをかんだり。めまい、耳鳴りをお持ちの患者さんには、お守り代わりにローラー鍼をお願いしています。

 じっとしていることから、エコノミークラス症候群もまれにはあります。ロングフライト血栓症とも呼ばれるようです。水分をしっかり摂ることも大事でしょう。ただ、アルコール飲料やカフェインを含む飲料には利尿作用もあるので、注意ですよ。トイレへ行くのが嫌で控える方もおられましたが、トイレに行くことで、身体を動かすことにもなります。血栓症は死にもいたる重篤な疾患、気にはかけておきましょう。

カテゴリー: 耳鳴り・難聴 / SORA鍼灸院 芦屋
 
[ 2011/09/14 13:08 ] 耳鳴り・難聴 | TB(0) | CM(0)
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